情報確認日:2026年9月17日。火薬の成分は公益社団法人日本煙火協会「令和6年花火入門」(材料の章)、燃焼反応は名城大学農学部の実験解説に基づきます。
結論:あの匂いの正体は硫黄が燃えてできる「二酸化硫黄」。マッチや温泉の匂いの仲間
花火が消えた後に漂う、つんとして少し焦げたような匂い。主な正体は二酸化硫黄(亜硫酸ガス)です。花火の火薬には可燃剤として硫黄が使われており、酸化剤の硝酸カリウムと反応して燃えるときに二酸化硫黄が発生します(名城大学農学部「花火の実験」の解説)。マッチを擦ったときの匂いや、温泉地の硫黄の匂いと同じ系統の物質で、人の鼻はごく低い濃度でも感じ取れます。
火薬の中身と、それぞれが出す匂い・煙
| 成分(日本煙火協会「花火入門」) | 燃えるとどうなるか |
|---|---|
| 酸化剤:硝酸カリウム、硝酸バリウム、過塩素酸カリウム | 酸素を供給する。燃えかすのカリウム塩などが白い煙の微粒子になる |
| 可燃剤:硫黄、木炭、樹脂、アルミニウム、マグネシウム | 硫黄→二酸化硫黄(匂いの主役)。木炭→二酸化炭素と煤(焦げ臭さ)。金属→白い光と酸化物の粉 |
| 色火剤:炭酸ストロンチウム(赤)、硝酸バリウム(緑)、蓚酸ナトリウム(黄)、酸化銅(青) | 色を出す。金属の化合物が煙に混ざるが、匂いはほとんどない |
つまり「花火の匂い」は硫黄の燃焼臭と木炭の焦げ臭さが混ざったもので、花火の色とは関係がありません。赤い花火も青い花火も、匂いはほぼ同じです。
なぜ火薬に硫黄を入れるのか
硫黄・木炭・硝酸カリウムを混ぜた「黒色火薬」は、花火の打ち上げ(玉を筒から飛ばす)や割火薬(玉を空中で割る)に古くから使われてきました。硫黄は低い温度で火がつき、燃焼を速くする役割があります。匂いはその副産物です。近年は硫黄を減らした配合や、煙の少ない火薬も研究されていますが、打ち上げ花火の基本は変わっていません。
匂いが強く残る日・弱い日
- 無風の日:煙が会場に滞留し、匂いが長く残る。花火自体も煙でかすむ
- 風下の席:煙と一緒に匂いが流れてくる。風上なら匂いはほとんどしない
- 湿度が高い日:二酸化硫黄は水に溶けやすく、湿った空気の中で刺激を感じやすい
- 手持ち花火・線香花火:至近距離で燃やすため、打ち上げ花火より匂いを強く感じる
体への影響はあるか
二酸化硫黄は高濃度では目や喉を刺激しますが、屋外の花火大会で観客が浴びる量は短時間・低濃度です。ぜん息の人は煙が発作の誘因になることがあるため、風上に位置するか布で口を覆うことが勧められています(環境省のぜん息患者向け資料の趣旨)。詳しくは花火大会の煙は体に悪いのかにまとめています。服や髪に匂いが残るのは煙の微粒子が付くためで、洗えば落ちます。

